繰り返し告知の通り、今週9/23(土)20:00から配信の新番組「歌謡曲を通して日本を語る」よしりん先生とチェブリンさんに存分に暴れてもらい、皆さんに目一杯楽しんでいただける内容になるよう、鋭意準備中です!
この番組では、昭和、平成、令和という3つの時代の楽曲を題材に進められますが、くしくもこの3時代は、メインとなる「音楽の供給手段」が異なります。
それぞれ、昭和は「レコード」、平成は「CD」、令和は「オンライン配信」がメインとなり、時代を経るごとに「手軽」かつ「安価」に音楽を楽しめるようになっています。
一方、それと反比例するように脆弱になっているのが、「永続的な音楽視聴」の安定性、つまり「好きな楽曲をいつまでも聴けるか」という要素です。
まず、現在主流となっているストリーミング(ネット経由でリアルタイムにデータを受信しながらの再生)はこれが非常に脆弱。実際、薬物などでアーティストが逮捕されると、楽曲の配信が停止されるという事態が何度も発生しており、社会的なキャンセルと同時に作品も聴けなくなる可能性が非常に高くなっています。
その点、物理的に円盤を持っていると安心ですが、昨今問題となっているのが、当初は「半永久的」と言われたCD盤の寿命が、保管状態により想定より大幅に短くなることがわかってきて「昔買ったCDが全く再生できなくなった」という事例が多発しています。
一番原始的な「レコード」は、細かいノイズなどはすぐに入ってしまいますが、ある程度劣化しても「全く聴けなくなる」状態になる事は少なく、永続的な視聴という面では一番安定していると言えます(同じ「アナログ」の記録メディアであるカセットテープも似た性質を持っています)。
いまや月額1,000円ちょっとで、新作から過去の膨大な作品まで聴き放題が当たり前の時代ですが(もちろん基本的には、私も普段からこの有り難い状況を楽しんでいますが)、音楽ソフトは「所有」するものではなく「一時的に聴く権利を与えられる」ものに変化しています。
これは音楽に限った事ではなく、世の中のあらゆる情報やサービスについて同じ傾向があります。芸能界や有名人といった事と全く無関係に、誰もが社会生活上から「キャンセル」され、「無かった事」にされてしまうリスクを、より多く背負うようになっています。
憂さ晴らし的な感覚で、ジャニーズへのキャンセルに喝采を叫んでいる人の中で、こうした事の恐ろしさ、自身の身にふりかかる可能性へ想像を巡らせた事がある人はどれ位いるのか。とても興味深い所です。